2012年10月3日水曜日

シナリオとストーリー

「シナリオ」と「ストーリー」の違いはなんでしょうか?

修士研究では「ストーリーを活用した発想手法」というテーマで研究をしています。
今年の1月のワークショップで「ストーリーテリング」という物語の形式でメッセージを伝える手法がデザインのアイデアを生み出すことにも活用できることを知ったことが研究テーマを設定したきっかけとなりました。

「ユーザシナリオ手法」というユーザが商品やサービスを利用する場面を想定して、具体的にシナリオを記述することでデザインの問題を見つけたりそれを解決する手法がありますが、「シナリオ」と「ストーリー」は何が違うのかが曖昧な部分があったので整理してみました。

「ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方 -」という本には以下のように書かれています。

・ストーリー(Story)
時間軸に沿った出来事の流れ。以下の用語を含む幅広い意味で使われる。

・アネクドート(Anecdote)
事実に基づいた注目すべき出来事。エピソードや逸話などと訳される。

・シナリオ(Scenario)
出来事の連続した流れを説明するもの。

・ナラティブ(Narrative)
ある特定の人物の体験を表す物語のこと。「ストーリー」よりも特定の個人の体験を意識する時に使われる。「ナレーション」と同じ語源を持つ。

・ジャーニー(Journey)
ある特定の人物の内面の変化に着目した体験談や物語。



整理してみると、シナリオはストーリーに含まれていて、シナリオは出来事の流れであるのに対して、ストーリーは人のエモーショナルな部分が入ってくるということが分かります。
研究としては、ストーリーのエモーショナルな部分からどのようにオリジナリティのあるデザインに落とし込んでいくかというところが課題になりそうです。


追記
デザインの思考についてのメモとして「UXデザインにおけるシナリオとストーリー」で改めて整理しました。

2012年9月30日日曜日

「寄藤文平の夏の一研究」


ギンザ・グラフィック・ギャラリーでやっていた「寄藤文平の夏の一研究」へ行ってきました。




B1Fでは頭の中のブックデザインのアイデアがチョークで描かれていました。

チョークを生かした表現に懐かしさのようなものを感じました。
親しみやすさもあります。

「タイトルから絵を考える」

「内容のエピソードから絵を考える」

なんとなく。

「どんな装丁だろうか?」と考えてみる。


「装丁するというのは一体何をすることなのか?」と考える。








「コスらないで下さい。」という注意描きから、展示についての紹介、アイデアの展開をいくつかのパターンで示す、本の宣伝、という展示の流れがあり、最後に形になったらいいなと思うアイデアにチョークで正の字を書いて投票するスペースも展示のデザインが面白いなと思いました。


2012年9月6日木曜日

APCHI2012



国際会議APCHI2012(The 10th Asia Pacific Conference on Computer Human Interaction)のロゴマークをデザインしました。
実際に会議バッグやプロシーディングスなどに活用していただきました。

2012年7月26日木曜日

デザインのための視野が広がる5つのヒント(秋田道夫/大学院特別講義)

以前スケッチのワークショップでも来ていただいた秋田道夫さんの特別講義のメモ。


1. デザインにアイデアは重要だがアイデアがデザインではない
「無知であるほどアイデアが出る。それを使えるものか判断するのがプロである」(奥山清行さん)

2. 自分が出したアイデアは5日間放置し、耐えたら別の箱に入れて1ヶ月放置する
それでも良いと思えるものが本当に良いデザイン。

3. 刮目
人間は3日間で成長する。

4. 自分の作品の欠点を意識する
欠点が利点を上回る時、欠点によって味が出てくる。

5. 何が良くて何が良くないかはデザイナーによって違う
これが個性につながる。


発想やアイデアがどこからくるのか、欠点を自覚することでデザインに味が出てくるという視点が面白かったです。


2012年6月30日土曜日

2012年6月29日金曜日

デジタル広告におけるデザイン(小泉望聖/大学院特別講義)


イメージソースの小泉さんの特別講義

デジタル広告について
・4マス広告(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)
・平成8~18年で情報量が530倍になっているが、情報処理能力は上がっていない
・コンテンツが24hを奪い合っている
・情報のシャットダウン能力によって4マスを中心とした従来の広告手法はどんどん効かなくなっている
・デジタル広告=次世代広告
・他人事から自分事化へ
・デジタルは自分事化との相性が良い

デジタル広告におけるデザイン
クライアントからの要望を有形、無形のものでソリューションを実現している。
・有形:フロントエンドデザイン(UI、エクスペリエンスデザインなど)、バックエンドデザイン(各種プログラミング、システムデザインなど)
・無形:コミュニケーションデザイン(ゴールデザイン、ターゲティング、各種インサイトなど)
・クライアントの言いたいことだけを伝えても聞いてもらえない→文脈に混ぜる
・ユーザメリット(面白がる、体験する、共有する)
・クライアントからの要望を解決し、そこからコンセプトを考える→クリエイティブジャンプ

これからの展望
・web、モバイル:AR、Felica、準静電界、リアルな場や人(アナログ)にデジタルとの融合
・デジタルサイネージ:サイネージとネットの連携によるターゲティング型のコミュニケーションやサービス
・広告業界:業界の境界が溶けてきた。付加価値の創出。グローバルなセールスサポートにクリエイティブの力を



事例で紹介されていた、「The Last Guy」というゲームのプロモーションで、URLを入力するとそのサイトがゲームのステージになるというのが特に気に入りました。そのゲームを知らなくても試してみたくなります。



講義の後の懇親会で紹介していただいたコットンについてのムービーが親しみやすくて分かりやすいです。

2012年6月28日木曜日

ローカリゼーションとエクスペリエンスデザイン

6月2日、ローカリゼーションとエクスペリエンスデザインのワークショップに参加しました。

Contextual Design、Work Modelの文化モデルについて(山崎先生)
・文化の違いを理解して、それを視覚化(モデル化)していく
・文化の違いがあっても共通点がある
・共通項を見つければそれが一つのデザインの切り口になる
・文化の違いは興味へつながる

安西さんのローカリゼーションについて(安西さん)
・イタリアのバルサミコにキッコーマンが入っている
・ユーザは変わりたくない、楽をしたい
・メーカーにとって市場からフィードバッグを得るためには、販売市場における地雷(文化的タブーなど)を踏まないこと

日本企業におけるローカリゼーションの推移
・1970年代、現地で生産するようになり、人事的側面のローカリゼーションが必要になってきた
・1980年代、品質も評価されるようになってきた
・アメリカは日本に対してどう対処すれば良いかを考えるようになった
・1990年代、独自の文化を発信していこうという動きになってきた
・「付加価値」をつける
・グローバリゼーションと情報技術の発達によってアフリカでもケータイ、ネットワークで人がつながる
・認知科学的側面が必要になってきた

文化理解
・約2週間で異文化を理解するローカリゼーションマップ
・日本では刺身を厨房で切り、食卓で箸で食べる
・西洋では肉を厨房で調理し、食卓でもユーザーが切って食べる。二段階になっている
・戦争の絵でも日本は「切る」、西洋は「刺す」ように剣を使っている


・紫はイタリアではタブー色だった
・H&Mが紫を流行色として出してきた時イタリアではNOとは言えなかった
・「世界は組み合わせでできている、しかも流動的だ」


ワークショップ
ワークショップはまず「雨」と「rain」という言葉からそれぞれイメージする言葉を5分間で20個出していきます。

「雨」から出てきた言葉を3つのグループに分類。


「rain」から出てきた言葉も3つのグループに分類します。


分類したそれぞれのグループをスケッチで表現します。
「雨」は「もの」、「現象」、「情感」という3つのグループ。


「rain」は「和風」、「洋風」、「和と洋の対」という3つのグループに分類しました。


どの班もグループ化した名前は違いますが同じような分類の仕方をしていた気がします。
最初に「雨」から言葉を出していったということもありますが、「rain」を考えた時に無意識的に外国をイメージして言葉を出そうとしてなかなか言葉が出てきませんでした。英語だからこそ出てきた特徴的な言葉も多かったと思います。


ワークショップの目的
・言葉を出発点に、自分の考えをより正確に相手に伝え、共有すること
・相手の考えをより正確に共有すること
・言葉とイメージの関係を知ること
・ローカリゼーションの根底に言葉があることを知る
・言葉の違いは感覚の違いを表していることを知る


言葉の選び方によってギャップを補完しようとする能力から出てくるイメージが変わってしまうため、文化、オーディエンスを意識した言葉選びが重要だと思いました。



2012年6月2日土曜日

What is design?(三木健/大学院特別講義)

5月30日の特別講義は三木健さん。
三木さんのお話を聞くのは2回目でしたが、今回も引き込まれるようなお話でした。

What is design?
・デザインの入り口にたったばかりの人へ
・デザインに興味がない人へ
・見えないところまでちゃんと考えられている、それがデザイン
・暮らしのすべてを見つめる(すべてがデザインと言える)
・想像(image)が重要
・デザインに領域なんか作らない
・リチャード・ソール・ワーマン(理解の巨匠)
・自分が聞いたことを他人に自分の言葉で説明できれば、理解したことになる

数学とデザイン
・□+□=5
・3+2=5
・2×2+1=5
・答えまでのプロセスを考える

国語とデザイン
・ここで、はきものを脱いでください
・ここでは、きものを脱いでください
・同じ文字を使っているが、点の位置が変わると文脈が変わる

理科とデザイン
・都市ガス本来は無色無臭
・匂いのサインで危険を知らせる

英語とデザイン
・「Impossible」と「I'mposible」
 ・' を入れると意味が変わる

Serendipity
・偶然の幸運に出会う能力
・「本棚を整理してはならない」:三木さんの事務所のルール
・寄り道をしてアイデアが一気につながることがある

大学1年生の授業のドキュメンタリー
・りんごを徹底的に研究する
・「世界一の研究者になるために」
・ビートルズ、ニュートン、スティーブ・ジョブズはりんごで世界を変えた
・気づきに気づく


三木さんは糸電話で声が届くのが不思議でしょうがなかったということが、デザイナーになろうと思ったきっかけだそうです。
What is design?(デザインって何?)ということを人にどう投げかけていくかを考えるきっかけになりました。












2012年1月15日日曜日

ストーリーテリングワークショップ

1月14日に「ストーリーテリング」のワークショップに参加しました。

学生3名+社会人2名=5名でグループになり、発想、ストーリーのパターン作成、デザイン提案、プレゼンという流れで進められました。自分のグループは、モノ(マテリアル)からストーリーを集めて発想し、「英雄構造」を用いてパターン作成、携帯電話のサービスを提案しました。



アクティングアウト。


ポイントと反省
  • Juicyなストーリー(ストーリーの選択基準):複数の人から聞いた、詳しい行動を述べた、ユーザーを理解しやすくする、UXチームの興味を惹く、意見を覆すが説得力があるストーリー
  • 英雄的構造:冒険へのきっかけ、試練、目的の達成、日常世界への帰還
今回は冒険の世界での苦労をもっと伝えられると良かった。
  • ストーリーの要素:視点、キャラクター、コンテクスト、心的イメージ、言葉づかいストーリーのディテールを個人で作成する際にあまり意識することができなかった。
  • オーディエンスを意識したプレゼン
今回は企画担当者を意識したプレゼンのストーリーが伝えられると良かった。

ユーザだけでなくサービスを提供する側にビジネス的にどのような価値があるのかというところまで提案できるかが課題です。