2016年10月23日日曜日

『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』:ブレイクスルーを起こすための3つのヒント


『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』が話題になっていたので読んでみました。そのなかでブレイクスルーを起こすためのヒントになるなと感じた部分をメモします。


1. なぜ「問い」が重要なのか?


知っていることの大半が変更を迫られ、あるいは廃れてしまう時代にあって、「自分は専門家だ」と自信を持って言えるためには、「学び続ける人」でなければならないのだ。
 MITの石井裕さんの言葉を思い出しました。
いい問いを発することは答えを出すことよりもはるかに大事です。なかでも最も重要な問いが『なぜ?』です。『なぜ?』という問いを何度も何度も繰り返していると、答えは哲学の境地にまで辿り着きます。
答えの限界はどのような問いを発するかによって決まってしまうということを考えると、答えをアウトプットしつつ、「なぜ?」という問いを繰り返すことが重要になってきます。



2. 「問い」の幅を広げる

問い方を変えることで、答えが変わったり、考えが違う方向に展開していくことがある。
知識がないことが露呈することをおそれ、質問ができなくなってしまうことがよくあります。「はい」「いいえ」で答えられない質問(オープン・クエスチョン)と「はい」「いいえ」で答えられる質問(クローズド・クエスチョン)を行き来することで問いの幅を広げることができるという視点は、質問を促すヒントになるなと感じました。


3. Q(問い)+A(アクション)=I(イノベーション)

たんに「なぜ?」と問うだけで何も行動をしなければ、思考や会話を刺激するきっかけにはなるかもしれないが、イノベーションにまでは至らないだろう。
IDEOのデザイナーは、アイデアを思いついてから何かをつくったり試したりするまでの時間がとても短い。同じことがMITメディアラボについても言える。ディレクターの伊藤穣一によると、研究者と学生は追っている疑問について思い悩んだり、どう進めるべきか討論したりすることにあまり時間をかけない。すぐに研究室の中で自分がすべきこと、つまり実験を始めるという。伊藤が言うように、「試すべきかどうかを検討するより、実際に試すほうがずっと簡単で安上がりな時代になっている」。
スタンフォード大学のボブ・サットンは、誤りを分析するときには、何を間違ったかを考えることに加えて、「この失敗の中でうまくいったことは何か?」を検討すべきだと言っている。(逆に、うまくいったと思えることをしたときには、どこか間違ったところはないか、あるいはもっとうまくできたはずの部分はないかを探すべきだ、とも。最も優れた学習は、成功と失敗を横並びにして考えることだ。)

早い段階でプロトタイプをつくる、アクションを起こし、いい点とよくない点を評価する、早く問題を見つけて対処するというサイクルを繰り返すことが重要だと改めて感じました。


9月25日に行われた第20回情報デザインフォーラムでも「問いのデザイン」についての話題がありました。スタンフォード大学やカリフォルニア大学などの一流の講義をどこにいても無料で受けられるMOOCやオンライン学習によって、知識のコモディティ化が進み、「何を学ぶべきか」という問いが未来の学びのテーマの一つになることにもつながる内容でした。