2011年3月11日金曜日

認知科学の基礎ワークショップ

3月2日(水)は「認知科学の基礎ワークショップ」
関西大学の加藤隆先生に講師として来ていただきました。

  • デザインパースペクティブ
  • 設計者がシステムデザインに対してどのような視点を持つかによって、デザイン段階で明示化される問題点が異なる(ウィノグラード)
  • パースペクティブはデザインの回答を与えてくれるものではなく、問題点を明示化してくれるもの

  • 人間情報処理の特徴とデザイン
  • 自動化・技能化・無意識化(メリットを促進し、デメリットを抑制する)
  • 文脈情報処理(表層的情報の効果との整合性を図る)
  • 例えば、同じメッセージでもフォントによって受ける印象が違う
  • カクテルパーティ現象(選択的注意の働き、無意識的な自動処理の存在を示唆)
  • ストループ効果(色を判別する処理の効果と、漢字を読む処理の効果とが、反応の段階で競合する)
  • 制御処理から自動処理へ移行していくことを考えてデザインする

  • アクションスリップ(意図されない行為の遂行、処理の自動化の代償)
  • 効率を犠牲にしてでもアクションスリップを防ぐ
  • デフォルト値(特定化作業を省略できる、誤解やエラーの可能性)
  • 検索手がかりの効果(言語的文脈、環境的文脈)

  • 認知的人工物の特徴
  • 人の認知的能力を強化するものではない
  • 遂行すべきタスクの性質を変化させる
  • 入力操作における間接性の増大

  • 電子化の副作用
  • 記憶の負荷を軽減するインターフェースを目指す
  • 短期記憶の情報を要求する作業の場合は、7±2チャンクを考慮すべき
  • 図書の電子化によって失われた情報を回復するインターフェース

  • インターフェースの二重接面性
  • ユーザの操作は第1接面、目的のタスクは第2接面で行われる
  • 直接操作(第1接面、第2接面が同じ)
  • 間接操作(第1接面、第2接面が乖離)
  • 遠隔操作(第1接面、第2接面が乖離、操作の現場とタスク遂行の現場を結ぶ情報伝達チャネルが必要)

  • 創造性の発現
  • 無から有が生じることはない
  • 既有の知識・技能の新規な結合
  • 不断の努力(hard work)の結果
  • 環境の重要性、情報的に豊かな環境に身を置く努力


最後にワークショップ。
キーボード・マウスをタッチパネルにすることで、
  • インタラクションの何が変わるか、変わらないか。
  • 変化のもたらすメリットを促進するには?デメリットを抑制・解消するには?
デザインパースペクティブを意識しながら考察し、デザイン案を提示します。
ワークショップという形で実際に考察することで、理解が深まります。