2011年10月19日水曜日

マリオ・ベリーニのデザイン

マリオ・ベリーニの電卓。

こちらはロール状の紙が入っていることが分かるような形。



こちらは持ち運ぶタイプで、バッテリーが入っていることが形に表れています。





8月22日の「マリオベリーニの会」の三浦英夫さんのお話のメモ。
  • ベリーニは、まず依頼を受けたら条件を全て理解し、一回目のプレゼンまで3ヶ月は時間をとる。打ち合わせや改良を重ね、盲点を見つけ出す。そして、最後は全て自分のデザインにしてしまう(自分のディテールを加える)
  • ベリーニのすごいところは、最後の1分まで追及する集中力
  • 企業を選ぶこと。対象とするものについてのトップ企業と仕事をする
  • 色は時計で言えば12時の両隣の色か、反対の色を選べば失敗しない
  • イタリアではデザインの好き嫌いがはっきりしている。日本ではこのデザインは一般的にはどうとか、ちょっと固いというように表現が曖昧
  • エンジニアである弟のダリオ・ベリーニの存在。何か一つ秀でたものを持つこと。別の部分が秀でた人と組む
  • 海外へ行くことになったら、日本の文化を徹底的に学ぶこと


多くの資料やモックアップを見せていただきました。




車のモデルもスタイロフォームで作ってしまいます。













象印の電気ポットのモデル。原寸、立体。




ベリーニの特徴的な面のつながり。




子どもでも溝に指を掛けるように持つことができる電話。






ヤマハのヘッドホンの図面。


両手で食卓へ持っていくことを考えてデザインされた羽釜をモチーフにした炊飯器。ちょんまげのイメージも。








2011年10月11日火曜日

アントチェアとセブンチェア(アルネ・ヤコブセン)

アルネ・ヤコブセン(デンマーク)のアントチェア。
アントチェアは真っ直ぐ前を向いて座る感じ。



セブンチェアはアントチェアよりもゆったりと座れる。



スタッキングできるような構造になっています。


どちらも成型合板の立体的な曲面が美しい椅子です。

2011年10月10日月曜日

ブルーノ・ムナーリの灰皿

ブルーノ・ムナーリの灰皿。
とてもシンプルな構造で美しい。
ブルーノ・ムナーリは絵本がメインですが、イタリアのダネーゼ社のためのプロダクトもデザインしていました。





ブルーノ・ムナーリは四角について徹底的に研究していて、正方形についての本まであります。

2011年4月6日水曜日

紙を使って考えるワークショップ(芦沢啓治)

3月4日は芦沢啓治さんに来ていただき、一日で調査、発想、プロトタイプ、発表までをやるワークショップでした。

紙を折りまくって発想します。

全員の作品の講評。


芦沢さんのお話のメモ。
  • 自分で作ったものが世の中に出たら、どんなリアクションがあるかという好奇心がある
  • 自分の土俵で戦うことで、普通のデザイナーが作らない家具を作りたい
  • 商品化の敵はカスタマーセンター
  • 自分にしかできないことを考える(例えば、9mmの丸棒でできることが分かっている)
  • 工場を見に行く(日本ではなかなか作れないので、台湾の工場へ行った)
  • 事務所の家具を自分で作ることで、空間にリズムが生まれる。ノイズが減る
  • まず紙で考え、鉄で作ったらどうなるか。厚さごとに検討する
  • どこにでもある紙をちょっとした空き時間に折って見る。技が増える
  • 自分で作ったものから発展させる。続けることが大事

ミラノサローネ出展へのアドバイス
  • ミラノサローネでは、プロも学生も関係なく同じ土俵で見られる
  • なぜこれを作るのか、なぜこれがいいのか、自問自答を繰り返すしかない
  • 優れているデザインには全てに意味がある
  • もっと世の中の優れたデザインを見る必要がある
  • 新しいアイデアよりも、もっとインパクトがないと見てもらえない。ものの存在が美しいかどうか
  • とことん努力してダメだったらしょうがない
  • 自分の気持ちを伝える。語学は必要
  • 実際に失敗しないと、本当にやろうという気にはならない

芦沢さんの言葉は説得力があり、広くデザインについてアドバイスをいただきとても刺激的でした。

2011年3月11日金曜日

認知科学の基礎ワークショップ

3月2日(水)は「認知科学の基礎ワークショップ」
関西大学の加藤隆先生に講師として来ていただきました。

  • デザインパースペクティブ
  • 設計者がシステムデザインに対してどのような視点を持つかによって、デザイン段階で明示化される問題点が異なる(ウィノグラード)
  • パースペクティブはデザインの回答を与えてくれるものではなく、問題点を明示化してくれるもの

  • 人間情報処理の特徴とデザイン
  • 自動化・技能化・無意識化(メリットを促進し、デメリットを抑制する)
  • 文脈情報処理(表層的情報の効果との整合性を図る)
  • 例えば、同じメッセージでもフォントによって受ける印象が違う
  • カクテルパーティ現象(選択的注意の働き、無意識的な自動処理の存在を示唆)
  • ストループ効果(色を判別する処理の効果と、漢字を読む処理の効果とが、反応の段階で競合する)
  • 制御処理から自動処理へ移行していくことを考えてデザインする

  • アクションスリップ(意図されない行為の遂行、処理の自動化の代償)
  • 効率を犠牲にしてでもアクションスリップを防ぐ
  • デフォルト値(特定化作業を省略できる、誤解やエラーの可能性)
  • 検索手がかりの効果(言語的文脈、環境的文脈)

  • 認知的人工物の特徴
  • 人の認知的能力を強化するものではない
  • 遂行すべきタスクの性質を変化させる
  • 入力操作における間接性の増大

  • 電子化の副作用
  • 記憶の負荷を軽減するインターフェースを目指す
  • 短期記憶の情報を要求する作業の場合は、7±2チャンクを考慮すべき
  • 図書の電子化によって失われた情報を回復するインターフェース

  • インターフェースの二重接面性
  • ユーザの操作は第1接面、目的のタスクは第2接面で行われる
  • 直接操作(第1接面、第2接面が同じ)
  • 間接操作(第1接面、第2接面が乖離)
  • 遠隔操作(第1接面、第2接面が乖離、操作の現場とタスク遂行の現場を結ぶ情報伝達チャネルが必要)

  • 創造性の発現
  • 無から有が生じることはない
  • 既有の知識・技能の新規な結合
  • 不断の努力(hard work)の結果
  • 環境の重要性、情報的に豊かな環境に身を置く努力


最後にワークショップ。
キーボード・マウスをタッチパネルにすることで、
  • インタラクションの何が変わるか、変わらないか。
  • 変化のもたらすメリットを促進するには?デメリットを抑制・解消するには?
デザインパースペクティブを意識しながら考察し、デザイン案を提示します。
ワークショップという形で実際に考察することで、理解が深まります。